日本の相対的貧困率は15.6%――。この数値は本当に真実を語っているのか。東京と地方では年収や生活水準が異なるにもかかわらず、これまで一緒くたに語られてきた貧困問題。東京型貧困と地方型貧困に分けて考えたとき、日本のリアルが見えてきた! 今回は、独特のコミュニティに苦しむ地方型貧困の実態に迫ってみた
◆世襲制度が根強く残る漁村では父親の借金肩代わりは当たり前
――永田英嗣さん(仮名・37歳/独身)・漁師・年収250万円
「子供の頃から漁師になることを決められていて、高校を卒業すると同時に父と海に出るようになりました。そして6年前に父が漁師を引退し、漁船を引き継ぐことになったんです。700万円のローンの残債とともに……」
広島県の島しょ部に住む永田英嗣さんはそうため息をつく。肝心の魚も思うように獲れない。
「20年ほど前は、一日に5万円近い水揚げがあることもザラだったけど、今は2万円あればいいほう。燃料代も高騰しているので、一日操業しても儲けが8000円にもならない日がほとんどですね」
永田さんは海から上がるとケアワーカーとしても働いている。2つの収入を合わせても月収は20万円程度だ。そのなかから、漁船のローンを毎月5万円ずつ返済しているのだから、生活は苦しい。
「両親と同居なので、家賃がかからないのが唯一の救い。でも、築80年の木造住宅は修繕費もバカにならなくて、この前も水道管の修繕に10万円かかった。それでも、僕は長男ですから仕方がない」
そう笑う永田さん。都会より家族の結束が強い田舎ならではのケースと言えそうだ。
親の借金って・・・