アルゼンチンの「合意コンドーム」から、ドイツのデートレイプ防止リストバンドまで、世界中で、性的加害行為を防止するための製品が次々と発表されている。
これらはほとんどが女性を対象にした、自己防衛のための発明品だ。
他にもアラーム付きの下着、加害者の攻撃をかわすために「腐敗臭」が出るブレスレット、そして性交渉の前に合意を確認するアプリなどがある。
イングランドとウェールズでは、女性の5人に1人が16歳以降に性的暴行を受けた経験があるとの政府統計が出ている。
同様の統計は世界中で報告されており、メーカーは性的暴行を防止する製品が重要な役割を果たすと訴えている。
しかし女性の権利の活動家の一部は、これらの製品は「善意」から生まれたものだが、失敗に終わっていると指摘する。
世界のレイプ防止グッズ
- コンセント(合意)パック:アルゼンチン企業トゥリパンが開発したコンドームは、性交渉には双方の合意が必要だと訴える。このコンドームの箱は4本の腕、つまり2人が協力しないと開けられない
- クサントス:ドイツで開発されたデートレイプ防止リストバンドは、飲み物にレイプドラッグが入っていないかを教えてくれる。リストバンドの緑色の丸に飲み物をたらすと、薬物か含まれている場合は色が変わる
- インヴィ・ブレスレット:オランダの企業が発売したこのブレスレットは、引っ張ると「腐敗臭」がし、加害者を思いとどませる効果があるという
- レガルフリング:オランダで開発されたこのアプリは、性交渉の前に明確な合意を確認するのを助けてくれる
トゥリパンが発売した「合意コンドーム」の宣伝(スペイン語)には、「相手がイエスと言わなかったら、それはノーだ」と書かれている。このコンドームは、4本の手を使わないと開けられない箱に入っている。
ドイツで開発された「クサントス」は、いわゆる「デートレイプドラッグ」が入っている液体に反応して色が変わるリストバンドだ。開発者は、友人が飲み物にドラッグを入れられた経験から着想を得たと話している。
このメーカーはフェイスブック(ドイツ語)で、「クサントスはお祝いの場を安全にし、自己防衛を助ける」と説明している。
効果はあるのか?
しかし、女性の権利活動家の一部は、こうした製品が強姦を防ぐことはできないと指摘している。
人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルで西欧・女性の権利を研究するアナ・ブラス氏は、「レイプ防止グッズは強姦を防げないし、(性交渉に対する)態度や振る舞いを変える必要がある状況を阻止できない」とBBCに語った。
「何をしても、どんな対策を講じても、女性は強姦被害に遭う。(中略)自己防衛の方法が問題なのではない」
女性の自己防衛より、加害者を止める方に注力するべきだとブラス氏は指摘した。
「定期的に自分達の振る舞いを正し、こうした戦術を考えるのは女性であるべきではない。加害者側から強姦を防ぐべきだ」
イングランドとウェールズで強姦防止を訴える「レイプ・クライシス」の広報担当、ケイティー・ラッセル氏もこれに同意する。
ラッセル氏はBBCに対し、レイプ防止グッズの開発者の「善意」を疑っていはいないが、「多くの問題がある」と話した。
「教育と合意」
ラッセル氏によると、性的暴行被害者の大半は知人から加害行為を受けているにもかかわらず、レイプ防止グッズは大抵、赤の他人からの性的加害行為を想定しているという。
「強姦や性的暴行への恐怖」で商売をしていること、被害を受ける可能性のある人に責任を押し付けていることなども問題だとラッセル氏は指摘した。
「究極的には、性的加害行為を阻止したり終わらせる製品はない。性交渉への合意とは何なのかを教育すること、加害者に対しこうした行いは見過ごせるものではないという明確なメッセージを発することに尽力すべきだ」
BBCが取材した専門家は、レイプ防止グッズに効果があるという確固たる証拠は見つかっていないと話した。
一方でスウェーデン・ヨーテボリ大学のテレーゼ・スクーグ心理学教授は、こうした製品が役立つとしたら、「大義のためではなく個別の重大事」のためだろうと述べた。
引用元
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-47931394
少なからず効果はあるかと思いますよ。
実際に使用しているか分かりませんが、、