Twitterの希望:「ライブ動画」に参加する 大手広告主たち

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Twitterが少しずつ、ブランドたちの注目を集めている。しかし、その要因はツイートのバイラル現象ではない。プレミアム動画を提供するサービスが理由だ。

FacebookWatch(ウォッチ)を拡大し、YouTubeサブスクリプションのパートナー数を増やすなか、エージェンシーたちはTwitterの動画シリーズを称賛している。パブリッシャーたちの動画がTwitter上で獲得する再生回数は増えており、広告主たちもビデオ広告やスポンサー契約でオーディエンスを獲得している。

2月にはいくつかのパブリッシャーが記録を破る収益をあげたと、Twitterは報告。2017年の支払いと年比較で60%も増加しているという。これにはミッドロール、プレロール広告、そしてスポンサーシップも含まれる。ペリスコープ(Periscope)によるチップ制プラットフォームであるスーパーハーツ(Super Hearts)、そしてブランデッドコンテンツ会社のニッチ(Niche)も、ここに含まれているとのことだ。

 

「ほかのプラットフォームと同じ規模とはいかないが、Twitterはずっと、ほかとは異なる方法でエンゲージするオーディエンスにリーチできる手段として確立されていた。特定のトピックや特定のプレミアム分野を独占したければ、Twitterにはそのオプションがある」と語ったのは、ハヴァス・メディア(Havas Media)が所有するエージェンシー、ソーシャライズ(Socialyse)の北米マネージングディレクターであるジェシカ・リチャーズ氏だ。

「AMからDM」の場合
Twitterにはいくつものライブ動画シリーズが隠されている。BuzzFeedの朝番組「AMからDM(AM to DM)」のように、パートナーのなかにはミッドロール広告を提供しているものもある。4月17日には「AMからDM」の司会者たちはまるでテレビのように2分間のウェンディーズ(Wendy’s)とベルヴィータ(Belvita)のコマーシャルを切り替えた。1時間の放送中、ウェンディーズのバナーも表示された。リプレイ再生はウェンディーズのグラフィックが表示されて開始される。

「AMからDM」におけるウェンディーズのスポンサー関係は目立っているが、広告を出しているブランドはウェンディーズだけではない。番組は毎週、6つのスポンサードのセグメントを提供している。そのうち2つは完全なスポンサード部門となっており、残りの4つはそれよりは軽い。一方で、ブルームバーグBloomberg)が配信している24時間ニュース放送「チックタック(TicToc)」はまだミッドロール広告を展開してない。しかし、彼らが7つ抱えているスポンサーからのブランデッドセグメントは存在している。AT&Tビジネス(AT&T Business)、CAテクノロジーズ(CA Technologies)、CMEグループ(CME Group)、ゴールドマン・サックスGoldman Sachs)、インフィニティ(Infiniti)、SAS、そしてTDアメリトレード(TD Ameritrade)だ。

TDアメリトレードの広告・メディア部門シニアマネージャーであるティモシー・ヘット氏は次のように語った。「スクリーンが何であれ、消費者たちは動画を見たがっていることはトレンドが示している。そこで、TDアメリトレードでは、複数のプラットフォームをまたがる戦略を開発している。これによってオーディエンスが自分たちの好きなコンテンツをどこで、どのように見ていようとリーチすることができるのだ」。

Twitterの多様性
Twitterはこういったパブリッシャーとスポンサーとのパートナー関係を、番組のローンチ前に成立させる助けをしている。Facebookはプレミアムコンテンツに対してライセンス料を支払い、YouTubeサブスクリプションからの料金とオンデマンド広告ネットワークを提供しているのに対して、Twitterは広告パッケージに注力している。

Twitterが用意している広告プロダクトを活用して、パブリッシャーたちはユーザーや非ユーザーに広告を提供する。そのなかにはライブ動画中に埋め込まれるものや繰り返しシェアされたときのプレロール広告などがそれだ。動画メディアたちが広告主にプレゼンを行うニューフロンツ(NewFronts)、昨年はTwitter上で提供される16の番組のスポンサー契約を結んだとRecode(リコード)は報じている。昨年9月にローンチした「AMからDM」の場合、BuzzFeedは25万ドル(約2700万円)から50万ドル(約5400万円)の広告パッケージを販売したとアド・エイジ(Ad Age)は報じている。

Twitterの番組はトピックや視聴者数において多様だ。ブルームバーグのチックタックは1月に、平均して毎日75万人の視聴者数を獲得したという。4月17日に配信されたBuzzFeedの「AMからDM」は、配信から5時間後には合計の視聴者数が31万8000人に達した。放送の回によって、50万から140万人の視聴者がいるという。マーケターたちは、こういったTwitterのプレミアムビデオの成績は、リツイート数や再生回数だけで測っているわけではない。こうした数字はボットによって膨らまされる可能性があるからだ。Twitterはパブリッシャーたちが維持する視聴者数を伸ばそうとしているが、ブランドたちもこれに乗っかって活用している。

ダンキンドーナツの試み
Twitterのミッドロール広告はローンチから1年が経つが、この広告プロダクトはまだベータ版のままだ。ダンキンドーナツ(Dunkin’ Donuts)の広報担当者は、これに関して、まだテスト版であるという理由からコメントを控えた。Twitterの広報担当者によると、まだ需要を観測している状況であり、パフォーマンスも評価している最中とのことだ。

「ミッドロール広告はTwitterが試している多くの戦術のひとつだ。私はそれを深読みしないだろう。上手くいかなかったり、もしくは特定の種類のコンテンツや特定のオーディエンスにだけ上手くいくことになれば、ほかにも入れるオプションは存在する」と、MWWPRの最高デジタルストラテジストであるパーカー・レイ氏は言った。

ダンキンドーナツのように、Twitterのライブ番組をスポンサーシップを通じて取り入れたブランドもいる。CNBCのような、ミレニアル世代にフォーカスした番組であるチェダー(Cheddar)ではカメラの前の司会者の前に、ダンキンドーナツのコップが置かれている。またこの番組では「何があれば1日頑張れますか?(What Keeps You Going?)」というスポンサードのセグメントもある。

「効果的なツール」
Twitterの番組に入っていくメリットはあるものの、ターゲッティングのオプションなどを考慮すると、個別のツイートの方がまだ、番組よりも魅力的であると語ったのはケッチャム(Ketchum)のデジタルペイドメディアのディレクターであるレイチェル・ワイナー氏だ。

「I/O要件とターゲティング、最適化要素が限られていることを考えると、私はミッドロール広告は若干、ハードルがあると思える」と、ワイナー氏は言う。

全体としては、今後Twitterのタイムラインがよりカスタマイズ可能になり、モバイルに適切なものになるにつれて、パートナー数や活用可能な広告オプションは増えるだろうというのがエージェンシーたちの見解だ。

「コンテンツの開発と配信が、ちゃんとユニークな配置に適している場合は、パブリッシャーにとってTwitterのライブ動画は効果的なツールとして機能することを確認している。Twitterのようなプラットフォームがライブメディア分野でどう商品を進化させていくのか、今後に期待している」と、グループ・エム(GroupM)のソーシャル・アメリカ部門責任者であるアマンダ・グラント氏は語った。

 

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