人に1人が「お酒を飲まない」時代に

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若者の“酒離れ”

近頃は個々の好みやアレルギー体質などに対する理解が広まり、「お酒が飲めない」ことを打ち明けやすくなったように感じる。
居酒屋に入るや開口一番「とりあえずビールでいいよね!」の時代から、今では「ウーロン茶で」と申し出る人も珍しくなくなった。

このような状況は数字にも現れている。
お酒に関する情報を発信する「株式会社バザール」が公開した「お酒を飲む頻度」の調査レポートでは、「お酒をどのくらいの頻度で飲むか」という質問に対して、回答者の24.7%、約4人に1人が「まったく飲まない」と回答している。
(期間:2019年2月11~13日 対象:20歳以上の成人男女6,553名 形式:インターネット調査)

2016年との比較。わずかだが「飲まない派」が増加している(ワインバザール調べ)

全体の比率では「毎日飲む」(20.4%)や「週に2~3回飲む」(14.3%)など、約6割で飲酒が習慣化しているが、同社が2016年に行った前回の調査結果と比較すると、2019年は「まったく飲まない」の回答が1.6ポイント増えている。ここ3年でも「飲まない派」が増えているとみていいだろう。

年代別の飲酒データ。若年層の酒離れが目立つ(ワインバザール調べ)

このほか、2019年の調査レポートでは、年齢層が若くなるほどお酒を飲まない傾向にあることが分かっている。
20~29歳では「毎日飲む」(10.6%)を「まったく飲まない」(29.0%)を大幅に上回っており、若者の“酒離れ”を証明する結果となった。

「飲む人」と「飲まない人」の温度差…

こうした状況の中、歓送迎会シーズンになり、課題となるのが「飲む人」と「飲まない人」のコミュニケーション方法だ。
飲み会などの場では、お酒が入る「飲む人」の気分が高揚するのは当然だが、「飲まない人」はそうとは限らない。

例えば、飲む上司がお酒の勢いで話したことを、飲まない若手が真に受けてしまうケースも考えられるだろう。
さらに避けたいのは、テンションの温度差や満足度の違いなどから、双方が気を遣って楽しめないという状況だ。

思わぬすれ違いにつながってしまう可能性も(画像はイメージ)

お酒をこよなく愛する“呑兵衛”たちの気持ちとしては、飲まない人とも会社では話さないような飲みニケーションを求めているはずだが、宴席の場で「飲む人」と「飲まない人」が楽しく交流するには、どのようなコミュニケーション方法を取るべきなのだろうか。

組織コミュニケーションを研究する、立命館アジア太平洋大学の筒井久美子准教授に話を聞いた。

お酒の利点を「ネットで代替できる」!?

――お酒を取り巻く状況をどう感じる?

これまでも持病や服用役の影響による「健康的理由」、アルコールを受け付けない「体質的理由」などで飲まない人はいました。
ですが近年では、お酒を飲まない(飲めない)家族や友人などに感化されたり、日本に在住する外国人の宗教的影響を受け、お酒を控える人も見られます。
これらに金銭的な理由なども加わり、4人に1人が飲まないという結果につながったのではないでしょうか。


――若者らが酒離れしているのはなぜ?

昔と比べて「お酒を飲むことに必要性を感じない」人が増えたからではないでしょうか。お酒は古来から、他者との関係を深めるために使われてきました。
緊張を解いて、相手の本音を引き出し、自己開示しやすくなる効果もあることから、「酒なしでは円滑な社会生活は送れない」と表現されるほどです。

ですが現在、人との交流や情報交換は直接会うだけではなく、インターネットでもできるようになりました。
例えば、SNSでは自分が好きな時に話したい人を選び、興味のある話題を自分のペースで話すことができます。飲み会に行き、相手を気遣いながら話すよりも、ネットでの気軽な交流を好む方が多いのではないでしょうか。


――ネットの普及が酒離れに影響を与えている?

ネットには匿名性があり、コミュニケーションが苦手な人でも自由な意見を発信できます。SNSを活用することで、全世界に自己開示もできます。
つまり、お酒の利点だった「緊張をほぐす、本音を言いやすくする、自己開示しやすい」といった効果が、ネットで代替できるようになったのです。
これらの影響が、時代の変化とともに、お酒が以前ほど必要とされなくなった要因ではないかと考えています。

SNSの普及で自己開示が容易になったという

「飲み会の最低限のルールを決めること」

――飲む人と飲まない人が互いに気遣う状況をなくすためには?

「飲む・飲まない自由を尊重する」「飲み会での話は他所に持ち込まない」といった、飲み会における最低限のルールを決めることではないでしょうか。
ここで大切なのは、飲む人と飲まない人、双方がルール作りに参加することです。「するべきこと」「してはいけないこと」の共通認識を持つことで、一人ひとりが安心して飲み会に参加できるはずです。


――飲む人、飲まない人がそれぞれ気を付けるべき点はある?

飲む人は、無理にお酒を勧めたり、お酒の作法や礼儀を指摘することは控えた方が良いでしょう。飲まない人はそのような決まりに慣れていなく、作法自体にストレスを感じることもあります。「グラスに注いでもらう」などの期待は持たず、好きな飲み物を個々のペースで楽しむように心掛けるべきでしょう。
最も気を付けなければならないのは、自分が飲めるアルコールの摂取量を超え、自制心を失ってしまうことです。
愚痴や説教、好まれない話題を出すなどして、場を盛り下げたりしないように気を付けるべきでしょう。


一方で、飲まない人にも努力が必要です。飲む人はお酒の力で緊張がほぐれますが、飲まない人はその力に頼ることはできません。
お酒を飲む人が醸し出す、明るく和やかな雰囲気である程度は解決されますが、自分から心を開くことも必要でしょう。
自分の気持ちを言葉にすることも大切です。「お酒を飲まないので注ぎ方の作法などは知りません」とあらかじめ断ったり、「飲まなくても楽しく過ごせています」などと伝えたりすると、礼儀に敏感な人の気分を害したり、心配させたりすることも減るはずです。


――飲みニケーションをしたい側は、どうすれば良い?

飲みニケーションをしたい側は、飲み会の序盤に「飲まなくてもいい」ことをしっかりと伝えておくことが大切です。
その上で「お酒を飲まないことは人生を損している」と言わないことなど、飲まない人に心理的負担を与えない心掛けが必要でしょう。
また、飲みニケーションは夜遅くなることもあります。途中までしか参加できない人が罪悪感を感じることがないよう、退室の機会を作るのも良いでしょう。

このほか、お酒を飲むことは構わないが煙草は我慢できないという人もいるので、禁煙や分煙にするなどの配慮も必要です。
アルコール以外のドリンクが豊富にあるようなお店を選ぶと、飲まない人も楽しめるのではないでしょうか。


――お酒や飲み会を巡る状況は今後、どのように変わる?

近頃はお酒を飲む・飲まないに限らず、飲み会の参加に消極的な傾向があると思います。
そのような人がどこに違和感や難しさを感じてるか把握しつつ、他者を不快にさせず、健康を害さない飲み方を学ぶことが求められるでしょう。
お酒は今後も娯楽、嗜好品として楽しまれるはずです。飲みニケーションにこだわらず、楽しみながら関係を構築できる時代が来ることを望みます。

飲む人も飲まない人も楽しめるコミュニケーションを

今どきは、SNSで自己開示ができるのでお酒の必要性を感じないというのは納得だが、「会社の飲み会」は仕事仲間との交流や情報共有を円滑にしてくれる「コミュニケーションツール」の場であるべき。
「飲む人」も「飲まない人」も今一度、「こんな飲み会なら参加したい」といったアイデアを話し合ってみてはいかがだろうか。

引用元

https://www.fnn.jp/posts/00428090HDK

お酒を飲まない人も多いかと思います。

全く飲まない人が4人に1人なんて初めて知りました。