読みたがらない本の共通点

 

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もしドラ」と一緒に売れたのは…

 ここでは、東大生があまり買わない本の特徴を紹介します。

 特定の本を貶めるためではありません。東大生が興味を示さない理由を考えていくと、彼らの読書に対する姿勢が見えてくるので、いくつか紹介したいと思います。

 まず、東大生には、「二番煎じ本」はほとんど売れません。

 たとえば、2010年には、岩崎夏海さんの『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』ダイヤモンド社)が、非常に話題になりました。「もしドラ」という略称で親しまれ、アニメ化や映画化などもされた大ベストセラーです。

 この「もしドラ」ですが、東大生にも人気がありました。2010~16年度の小説部門のランキングでは、村上春樹に次ぐ歴代2位という結果になったほどでした。

2010年は、「もしドラ」がものすごい勢いで売れたこともあり、多くの出版社からドラッカーの関連本が刊行されました。

 たとえば、「図解でわかるドラッカー」「ドラッカー入門」「ドラッカーの思考法」などです。「もし○○が△△したら」といったような、「もしドラ」をもじったタイトルもありました。

 しかし、ブームに乗っかることを目的に発売される二番煎じ本には東大生はほとんど興味を持ちませんでした。

 

ドラッカー『マネジメント』が
前年の25倍も売れた

 むしろ、ドラッカーの『マネジメント』ダイヤモンド社)のほうがよく売れました。ドラッカーは世界的に有名な経営学者なので、『マネジメント』は東大生協書籍部でも常備していました。

 しかし、「もしドラ」発売後はあっという間に在庫がなくなり、何度も補充することになりました。結果的には、前年の約25倍も売れたのです。

 このように、東大生は原典に触れることを大切にしています。

 以前、店に来た東大生と話していたとき、当時映画が上映されていた『源氏物語』の話になりました。その東大生は、映画に感動し、『源氏物語』の原文を読み始めたと言うのです。

 まずは、現代語訳やあらすじを読むものではないかと言ったところ、

「気になったものの大元を知りたくなるのは当然じゃないですか」

 という答えが返ってきました。

ふつうはわかりやすくまとまったものを読むだけで満足してしまいがちです。しかし、東大生にとってそれはスタート地点に過ぎません。原作や原文まで手を伸ばすことで、さらに深く作品を楽しもうとしているのです。

 本選びの際には、一冊の本からどんどん興味を広げていけるように、原典にあたるという意識を持つといいかもしれません。

ページ数が少ない本、
余白が多い本には興味がわかない

 東大生に受け入れられるかどうか、中身をぱっと見ただけで判断する方法があります。本の情報量をチェックするのです。

 

 余白が大きかったり、ページ数が少なかったりすると、東大生は興味を失ってしまうようです。

 そういった本は、世間でどんなに話題になっていようとも、タイトルにどれだけ東大生の気を引くキーワードが入っていたとしても、手に取ってぱらぱらと見たあと、すぐに棚に戻されてしまいます。

 東大生は、情報量を重視して本を選んでいるのです。字がぎっしり詰まっている分厚い本は、読む人を選んでしまうものです。それを見ただけで、読む気をなくしてしまう人も多いでしょう。しかし、東大生は、そういう情報量の多い本のほうが、むしろ好きなようです。

 情報量が少ない本は、「成功の法則」や「簡単に1億稼ぐ方法」「○○するだけでうまくいく」などといったタイトルのビジネス書や自己啓発書に多いようです。

 これらの中には、たまに「エリート」や「思考法」という東大生が好きなキーワードが入っているものがあります。しかし、情報量が少ないものはあまり東大生協書籍部に並びません。

「楽して成功する」系の本に
東大生は手を出さない

 こういったタイトルの本が売れない理由の一つとして、東大生は楽して何かを得ようという考えそのものがないからなのではないかと思います。

 東大生の大半はたくさん勉強をして受験を乗り越えてきており、成功するには努力が欠かせないということを知っています。

 そのため、最低限の情報だけで楽して成功しようという本には手を出さないのでしょう。

 

 ふつうはそんないい方法があるなら、ぜひ知りたいとつい誘惑に負けてしまいそうになりますが、東大生は人生に近道がないことを知っているようです。

 その証拠となる本があります。

 それは東大生協書籍部でよく売れた山口真由さんの『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある。』(扶桑社)です。著者の山口さんは、東大法学部を首席で卒業し、財務省勤務を経て現在は弁護士として活躍しています。この本では、結果を出し続けてきた山口さんが、努力を継続する秘訣について紹介しています。

 山口さんは、自分が天才ではないと気づいたからこそ、ひたすら努力することを選び、司法試験の口述試験2週間前は、1日19時間30分勉強したことを明かしています。

 楽して何かを得ようという本より、こうした努力論についての本のほうが東大生の考えに合うようです。

また、ビジネス書や自己啓発書というのは、一般書店の場合、メインで置いてあることが多いですが、大学生協の書籍部では、そもそも取り扱っていないことが多いです。

 しかし、情報量が多く、しっかりとした方法論が載っているビジネス書や自己啓発書は東大生協書籍部でよく売れるため、それらを選別しておく必要があります。

 先ほど紹介した山口さんの本も自己啓発書ではありますが、東大生協書籍部でベストセラーになっています。

 他の大学生協書籍部と違い、ビジネス書や自己啓発書の新刊も仕入れているのは、東大生協書籍部の大きな特徴の一つです。

 東大生は数年後自分が社会に出たときのことを考えて、学生のうちから少しずつ学んでいるのでしょう。

「なぜそうなるのか」
「どうなっているのか」を知りたい

 ハウツー本やマニュアル本も東大生協書籍部では売れません。読者が知りたそうな情報だけを載せてくれているのでわかりやすいですが、東大生はその裏付けとなる客観的なデータや根拠を必要としています。

 たとえば、「会話術」や「プレゼン術」を身につけたいと考えている東大生は、『TEDトーク 世界最高のプレゼン術』(新潮社)を手に取ります。この本では、世界の著名人が披露したプレゼンを徹底分析することで、聴き手を惹きつける極意を明らかにしています。東大生は、著者自身が自らの成功体験を語る本より、『TEDトーク』のような客観的な視点から書かれた本を選ぶのです。

 複雑化する世の中では、仕組みや理論がわからないことがたくさんあります。

「どういう仕組みになっているのか」「なぜそういう結果になるのか」といったことを知らなくても、私たちは生きていくことができます。

 しかし、それを許せないのが東大生なのでしょう。やり方と結果だけわかればいいのではなく、そのプロセスや背景まで理解したいというのが、彼らの基本姿勢なのです。

 

引用元

https://diamond.jp/articles/-/189439

東大生の考えは面白いですね。

なぜ?

なんで?という気持ちがずっと続くと良いかもしれないですね。