覚醒剤がなくならない理由、あいりん地区の実態

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日本最大のドヤ街と呼ばれる大阪市西成区あいりん地区。この街には全国から“行き場を失った人々”が集まってくる。前科者、薬物中毒者、殺人者、元ヤクザなどなど……。そんなあいりん地区に78日間にわたって滞在し、『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)を上梓したライター・國友公司氏が、西成のシャブ事情を現地の住人の声を交えながらレポートする。

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 8月15日、大阪府警薬物対策課は、あいりん地区にある簡易宿泊所(ドヤ)を拠点に覚せい剤を売ったとして、住所不定無職の男2人を逮捕した。同地区では一昔前までドライブスルーのような形で覚せい剤が売られていたが、警察が浄化作戦により一掃したとされている。しかし、現実は一掃など程遠い状況だ。

 

 20年ほど前、西成区内に事務所を構える暴力団組織に属し、あいりん地区で覚せい剤の売人をしていたという青山(仮名)がこう話す。青山は取材時、肉体労働に従事しながらあいりん地区に住み、週末になると覚せい剤を使用していた。

「あいりん地区で覚せい剤を売っている人間? そんな奴ぎょうさんおるで。俺のお得意先を紹介したるからちょっと付いてきいや」

 青山は西成警察署から程近い居酒店で酒を飲んでいた60代とおぼしき女性に「ネタ持っとる?」と話しかけた。すると女性は、ポケットからスッと白い粉の入ったパケを差し出して見せたのだ。8月の事件ではドヤが密売の拠点となっていた。しかし、いまだに路上での覚せい剤の取引も行われている。青山がこう続ける。

「でもな、警察も黙ってはいられないから売人も昔みたいに堂々とは売っとらんで。さっきみたいなババアは特別やけどな。盲点っちゅうやつか。シャブの売人は意外なことに女も多いんやで。でも、俺がシャブ買う時は路上ではなく待ち合わせにしとる。ドヤの一室で受け取ることもあれば、その辺のビルの一室ってこともある。臨機応変ってやつやな」

筆者の働いていたドヤからも注射器が出てきた

 あいりん地区を歩いてみるとわかるが、何をするわけでもなく、一日中同じ場所にじっとしている男がちらほらといる。この“立ちんぼ”と呼ばれる人物に声をかけると、覚せい剤の受け取り場所を指定されるというわけだ。

「立ちんぼっちゅう仕事は、言ってみれば誰でもできる仕事や。俺が知っている立ちんぼも、元は解体現場で働いていた奴や。あんなの場所を教えるだけや、兄ちゃん(筆者)でもやろうと思えばできるんやで」

 立ちんぼに待ち合わせ場所を指定された買い手は、直接その場所に取りに行くことができるそうだ。間に別の人間を挟むことは少ないという。78日間あいりん地区に滞在した筆者でも、すでにどの人間が立ちんぼか、一発でわかる。日々パトロールに励んでいる警察官が、わからないはずなどないのだ。あいりん地区内にある交番勤務の警察官は、こう話す。

「立ちんぼを1人捕まえたところで、また次の立ちんぼが出てくるだけ。イタチごっこ状態だから捕まえる意味ないんだよね。それより今は貧困ビジネス(生活保護費のピンハネ等)が問題になっている。正直言うと、覚せい剤まで手が回らないんだよ」

あいりん地区では、覚せい剤根絶の看板をよく目にする

 後日、仕事を終えた立ちんぼの男を尾行していると、男は交番に立ち寄った。外から様子をうかがうと、警察官2人と男が、和気あいあいと世間話を楽しんでいた。立ちんぼの行動から、覚せい剤の密売所などすぐにでも割り出せるとも思うのだが、なぜ警察は動かないのか? 8月の事件のように、あいりん地区では定期的に覚せい剤の密売所が摘発されるが、単なる見せしめのように思えてしまう。

 あいりん地区から覚せい剤を一掃できない、いや一掃しない特別な理由があるのだろうか。

 

http://www.cyzo.com/2018/10/post_177770_entry_2.html

あいりん地区謎が多い地区ですね。

覚醒剤は何としてでも消し去りたいものですね。