誕生日を7日前から祝うシンガポールの国民性

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ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。今回は誕生日の話をさせていただきます。日本では大人になると盛大に誕生日を祝うという文化が、あまりないのではないでしょうか。これはもったいないです。シンガポールアメリカなどの海外では、いくつになっても誕生日は皆で盛大に祝います。家族や友達だけではありません。企業もバウチャー(商品やサービスの引き替え券)や各種の無料サービス、景品などを贈呈したりするのが一般的です。

豪華な誕生日プレゼント!でもちゃっかり来店させる

私が住んでいるシンガポールでどれくらい誕生日が盛大かというと、例えば、たった2歳の子供の誕生日のためにレストランやプレイグランド(遊び場)を借り切って盛大にお祝いをすることも珍しくありません。富裕層だけではなく、庶民も自分で貸し切りをしてくれる店を借りてゲストに振る舞う習慣が定着しています。

また、誕生日は個人レベルだけではなく、格好のビジネスチャンスでもあるのです。日本でも誕生月にはさまざまな企業から誕生日メールが届きますが、やはりシンガポールのほうが上です。

例えば、メンバーになっているエステサロンでは4000円分のバウチャー贈呈、レストランでは直径10センチ程度のケーキをキャンドル付きで出してくれました。また大手のアパレル企業などからはチョコレートや月餅の詰め合わせなどのプレゼントをもらいました。

ただし、です。贈答品の受け取りは、ちゃっかり店舗での引き渡しです。客を来店させれば新商品などを見せられるという狙いがアリアリです。誕生月は「15%割引」「8000円分のバウチャー」など(顧客の売上金額による)プロモーションも併せてあるので、私は定価で買う予定の物は、その月に買うようにしています。

日本だと、誕生日までギリギリ待って当日に「おめでとう!」と伝えるのが一般的かもしれません。しかし、特にシンガポールでは、誕生日の前後1週間くらいからは、友達といってもどちらかというとSNSでちょっと繋がっているくらいの人のレベルまで、祝ってくれたりします。そうすると自然と、浮かれ気分になりがちです。

こんな土台があるのは、企業にとっては願ってもないチャンス。「おトクなプロモーション」を畳み掛ければ、ビジネスチャンスになるのは間違いありません。

もちろん日本でも誕生日限定の特別なクーポンやキャンペーンなどを用意している企業は珍しくありません。例えば、楽天市場などを見ると、グループ内で利用できるポイントやサービスがたくさん用意されており(サービスによって優待が異なる)、一回だけでなく、いくつも使えるので、誕生日が近づけば何を買おうかと思うでしょうし、モールに出店している企業側の売り上げも上がりそうです。

それでも、日本では海外と比べるとまだまだこうしたプロモーションが圧倒的に少ないのです。他の企業ももっと追随すべきです。友達からのメッセージも嬉しいですが、実は、やっぱり企業からのプレゼントやプロモーションのメールも非常に楽しみなのです。いつもならばスルーをするメルマガも誕生日のメッセージカードとプロモーションの案内なら、クリックをして中身を見たくなるのです。

年間を通してイベントざんまいのシンガポール

シンガポールは誕生日を盛大に祝う以外にも、何かとイベントで盛り上げるのが好きな国です。「中秋節」(ミッドオータムフェスティバル)「ハロウィン」「サンクスギビング」「クリスマス」「ニューイヤー」「チャイニーズニューイヤー」「イースター」(復活祭)「教師の日」(9月第1金曜日)など、家族やお世話になっている人などに贈呈をしたりご馳走を食べたりする機会が非常に多いのです。

窮屈と思う読者もいるかもしれませんが、男性は妻に結婚記念日、誕生日、クリスマス、(実母、義母に関係なく)母の日なども含めて、プレゼントや食事をご馳走しないといけません。

企業側も、それらを見越して例えば「母の日スペシャル」として手頃なアクセサリーなどオススメの商品をメルマガで送ったり、イベントに合わせたディナーコースを作ったりとさまざまなプロモーションを打ちます。

もちろん、日本でもクリスマスコースなどは一般的でしょう。しかし、シンガポールでは、こうしたイベントがもっと小刻みに設定され、回数がかなり多いという印象です。例えば、イースターのメニューは値段が一段と高額で豪華さが増すという具合です。

レストランで観察していると欧米人や中華系はここぞとばかりに奮発して、顧客単価が非常に高くなっています。なにをいいたいかというと、欧米人は非常に記念日を重要視する傾向がありますし、それをシンガポールはよくわかっていて、ここぞとばかりにしっかりお金を稼ごうというわけです。一部の日本企業はおこなっていると思いますが、日本全体ではまだまだ足りません。中国や米国などからの富裕層の旅行客向けに、「最高の特別メニュー」を仕掛けることもできるでしょう。

クリスマスの数カ月前にプレゼントを買うことも

記念日に話を戻しますが、「記念日が派手だと生活に響かないか?」という声が聞こえてきそうです。確かに、派手だと交際費はかさみがちです。今まで2回ほど子供の誕生日会を主宰したことがありますが、場所代や食事代やお土産などを含めると1回で10万円弱かかる場合もあるからです。それでも本当に多くの人がわざわざ小さな子供の誕生日パーティーを催しており(兄弟がいる場合は別々に)、シンガポールでの生活がまだそう長くない私でも、パーティーにお呼ばれして出かける回数は、多い時で月に数回あるほどです。

プレゼント代も、もちろんバカになりません。年中に近い状態でプロモーションもやっているので、あらかじめ数カ月前からクリスマスプレンゼントを買っておくということもしばしばです。自分でラッピングしてプレゼントを渡す文化が行き届いているので、買っておいて、あとは自分でラッピングしてプレゼントを渡わけです。

ちなみに、ラッピングは有料の場合が多く、日本のデパートのように何重にも包装をして、予備の手提げ袋をくれるなどというところはほとんどありません。日本の良いところではありますが、数百円の買い物に対してもするのは過剰サービスです。

どうでしょうか。贈答の機会が非常に多いと、家計のやりくりは結構大変で「日本のほうがいい!」と思う人も正直多いかも知れません。しかし、それは一面的な見方だと思います。

やはり消費は活性化されるので、経済にはよい効果が期待されます。また「金は天下の回りもの」で、自分が招待をすることもあれば、もてなされる機会も多いので飲食費がかからない場合もあって、結果的によいコミュニティに入っていればお金に困ることが少なくなる可能性があるのです。このように、日本でももっと誕生日を始めとした記念日を盛り上げていく方が、消費は活性化され、国も元気になるのではないでしょうか。

https://toyokeizai.net/articles/-/238071?page=3

 

 

シンガポールではそんな文化があるのですね。

これはかなりのビジネスチャンスですね。