高収入社員vs低収入職人で見る、「年収で婚活」が失敗する理由

https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/e/7/670m/img_e745452d2425781f437556317d44d4ce38575.jpg

 

結婚相談所を訪れると男性はたいてい年収や資産を聞かれる。なぜなら女性は経済的視点でパートナーを選ぶからであるが、どうやらそれはもう時代遅れと言わざるを得ない。年収基準にこだわらず、幸せな家庭を築くためにはどんな点にポイントを置いたらいいのかについて述べてみたい。(ファイナンシャルプランナー 吹田朝子)

なぜ年収で相手を選ぶ
結婚が時代遅れなのか

 

今後の何十年もの人生を考える上で、パートナーの年収に関してこのような情報は果たしてどれぐらい信ぴょう性があるのだろうか?その情報は、ただ単に昨年や今年の一時点で見た実績にすぎない。将来に対して何の保証もないと言われるのはなぜか。考えられる主な理由としては2つある。

(1)転職する割合が高くなった
 25歳から39歳までを対象に転職経験がある人の割合を調べたところ、52.5%という結果が出ている(転職サイト「DODA」の実態調査)。婚活世代も転職する人が多いことは、容易に想像がつくだろう。今後、ITやAIが一層進化すれば、2人に1人の割合で仕事が大きく変わる可能性があると言われており、将来的には今よりも転職する割合が高まるだろう。

(2)安定企業や年収が高い企業で勤めていても、病気になることも…
うつ病患者数」は、ここ10年の間に世界で18%も増えており(2017年WHO調査)、日本でも3年前より16%増と急増している(厚生労働省2016年「患者調査」)。近年、社会に認知されるようになった「新型うつ」は、仕事になると体調が悪くなり、遊ぶ時には何の支障もないのが特徴。特に安定の代名詞と言われる公務員や大企業の社員に多く見られるようだ。

 このように、公務員であれ、有名企業や大企業に勤めている人であれ、医者や士業といった専門職等の高収入の人であれ、今後どんな変化があるかはわからない。今の年収を判断基準にすることがどれだけリスクが大きいのか。

 

幸せな家庭を築くのに
必要な3つのポイント
「年収にこだわらないとしたら、何を基準に、何を大事に婚活したらいいのか?」

 そんな声が聞こえてきそうだ。それは、先ほどのA家とB家を比較しながらまとめてみると、3つのポイントが挙げられる。

(1)これからの人生を通して好きなことを活かして働き続けるビジョンを持っていること
 A家庭は、「上場企業で働き高年収である」という条件やスペックにすがってスタートしたため、年収がダウンした時の備えについて、きちんと話し合う機会を持たなかったことが、家計を圧迫した原因といえる。

 一方、B家庭は、結婚当初から仕事に向かう時の表情や姿勢、仕事仲間との交流によって人生を通して好きなことをベースに働き続けるイメージを描いていた。お互いを応援する気持ちも強く、常に体調管理にも気をつけ、仮に年収がダウンしてもどう乗り切るか、夫婦で話し合っていたことも大きな違いだ。

(2)暮らしのビジョンを共有でき、それに見合うお金の価値観を理解し合えること
 A家は見栄や面子にこだわっていたので、自分たちがどこでどのように暮らせば幸せなのかが漠然としており、家計のピンチですら根本的な見直しに着手できなかった。

 一方、B家は夫婦家族の好きなことを共有しているので、家計管理の分担や優先順位も明確であり、お金を使っても満足度が非常に大きい。衝動買いといったネガティブな支出はなく、コストパフォーマンスが比較的高い家計を実現できていることが大きい。

 年収などから見栄をはったり、人目を気にしたりせず、真っ先に家族の声を聞いて、自分たちの幸せな暮らし(好きなこと、好きな時間、好きな空間など)を理解し合うこと。それが、実際のお金の使い方や優先順位とも重なって効果的な家計に繋がってくる。

(3)子育ての方針も話し合って、助け合えること
 A家の子育ては妻に任せてしまったため、子育ての方針を話し合っていなかったのが問題である。収入が減った時に、私立に通っていた子どもを公立に進路変更せざるを得なかった。結果、家庭の雰囲気を暗くしてしまった。

 一方、B家は結婚当初から、自らが育った環境、親からの影響などについて共有し合っていたので、2人の子育ても軸が定まっており、子どもの受験も上手く絞り込んだのが大きいと言えるだろう。

 子どものいる家庭が陥りがちな落とし穴として、夫婦の教育方針の違いがある。夫を顧みないで、子どもの教育に湯水のごとくお金を費やす妻とトラブルになり、離婚騒動になることも少なくない。結婚当初から、子どもが生まれたら、お互いの子育てや教育に対する考えを話し合いながら、協力し合えるかどうかが大事である。

 いかがだろうか?婚活に話を戻すと、暮らしのビジョン、夫婦の価値観の理解、そして子育て方針、これら3つがクリアになれば、正直、今の年収が世間の平均には届かなくても、心配する必要はないとお分かりいただけたのではないか。

 

diamond.jp

 

お金が全てではないという事ですね