金融新聞「FT」までがFBからインスタグラムへ注力シフト、絵文字を用いたりしてエンゲージメントが大幅アップ

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インスタグラム(Instagram)は、美容やファッション、食、旅行などをカバーする軟らか系パブリッシャーにとって、今や最も注力するソーシャルプラットフォームとなっている。さらに驚くことに、インスタ映えと縁がなさそうな硬派系の金融専門紙フィナンシャル・タイムズ(FT)までも、プロモーションの有効な場としてインスタグラム対策に力を入れている。

 メディア分析会社のNewsWhipによると、FTがインスタグラムに投稿した記事の平均エンゲージメントが、フェイスブックへの投稿記事よりも13.4倍も高かったいう。英国の代表的な新聞サイトがこの1年間(2017年4月~2018年4月)にインスタグラムおよびフェイスブックに投稿した記事を対象に、それぞれのSNSにおける記事一本当たりのエンゲージメント数(ここではコメント数、いいね!数といったリアクションの合計)を計数した結果が、図1である。

 

 FTがフェイスブックに投稿した記事の平均エンゲージメントが201だったのに対して、インスタグラムに投稿した記事はその13倍以上の2,703の高スコアを得ている。インスタグラムのオーディエンスのほうが、FTの投稿記事に対して圧倒的に高い反応を示しているのだ。なぜFTの記事が、インスタグラムのオーディエンスに受け入れられているのか。

 上の図1を見ても分かるように、インスタグラム投稿記事のエンゲージメントが高いパブリッシャーと、フェイスブックのほうが高いパブリッシャーとに分かれる。各パブリッシャーの投稿記事のコンテンツの違いにもよるし、パブリッシャーの力の入れ方の違いにもよる。ただこれまで、日本は別にして、大半の国のパブリッシャーはフェイスブックに高く依存し、その対策に努めてきた。フェイスブック批判の嵐が吹き荒れている今日でも、ほとんどのパブリッシャーは大量の記事をフェイスブックに未だに投稿し続けている。

 ニュース系パブリッシャーからすれば、フェイスブックにはテキストや写真、さらには動画であろうと、これまでのスタイルのニュース記事を投稿できるので、多くの記事を提供できる。一方インスタグラムには写真や動画コンテンツが中心となり、それもインスタ映えするモノでないと埋没しかねないだけに、提供できる記事が限定される。 

 そのため、図1の各新聞系パブリッシャーでも、投稿記事数ではフェイスブック向けがインスタグラム向けよりもけた違いに多くなっているい。そこで、総エンゲージメント=投稿記事数×1記事当たりのエンゲージメントで比較すると、FTも含めてすべてのパブリッシャーで、フェイスブックの総エンゲージメントのほうが高くなる。

 ただ現状のままでは、フェイスブックのニュースフィード・アルゴリズムの変更次第でパブリッシャーが大打撃を被りかねないだけに、パブリッシャーからすればフェイスブックへの過度な依存から脱したい。その一環として、同じフェイスブック傘下であっても、いま旬のインスタグラムをもっと活用していきたくなる。

 FTは他の欧米の有力ニュースメディアに比べると、フェイスブックへの依存度は高くない。提供する硬い経済金融記事は一般にバイラル性が弱いため、フェイスブックではエンゲージメントが低くなってしまう。それに有料記事はpaywallに阻止される。それでも本流の記事を中心に投稿して、若いオーディエンスにリーチし認知してもらっていた。だが、若年層のフェイスブック離れが起き始めている昨今、若年層へのリーチを進めていくにはインスタグラムの更なる活用も必要になったのだろう。

 

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難しそうなお話・・・