野宿1000キロを2ちゃんで実況した春間豪太郎さんの珍冒険記 モロッコ

http://www.hochi.co.jp/photo/20180421/20180421-OHT1I50157-L.jpg

冒険どころか、海外旅行にさえ興味がなかった大学生が、行方不明の友人を捜索したのをきっかけに冒険の旅にはまってしまった―。2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)まとめ掲示板で火がつき、単行本化した春間豪太郎さん(27)の「リアルRPG譚 行商人に憧れて、ロバとモロッコを1000km歩いた男の冒険」(KKベストセラーズ、1512円)は類例のない珍冒険記だ。若い世代が旅しなくなったと言われるが、こんな冒険男もいる。(甲斐 毅彦)

 冒険や探検の世界に踏み込むきっかけは、人それぞれだ。多いのは登山・極地冒険の植村直己氏(1984年死去)やヨット冒険の堀江謙一氏などの著書に触れるケース。春間さんの場合は大学時代、消息不明となった幼なじみを探しに単身フィリピンへ行ったことだったという。それまでの海外旅行は高校生の時にニュージーランドへ8日間行っただけ。飛び込んだ異世界が強烈だったのだ。

 「フィリピンに行くまでは普通に就職して結婚するのかな、と思っていました。母の実家が兵庫県なので小学生の時に植村直己冒険館豊岡市)には行ったことはありますが、その時は、全く興味が湧かず…(笑い)。赤川次郎さんや星新一さんの本が楽しくて読んでましたが、冒険の本は買わなかったですね」

 大学卒業後は英語を身につけ、歌舞伎町で客引きをして交渉術を身につけながら冒険の構想を膨らませた。といっても全てが自己流だ。

 「フィリピン以降、海外にちょくちょく行きながら本当に自分がしたいことは何だろうと考えて、心に最後に残ったのが砂漠だったんです。ラクダに乗って旅してみたい。ならばまずエジプトに行ってみようと。子供っぽいアイデアですが」

 砂漠→ラクダ→エジプト、という極めて単純な発想で、エジプトに行ってラクダ飼いになることを思いつく。サハラ砂漠での冒険といえば、名著「サハラに死す―上温湯(かみおんゆ)隆の一生」がそうであるように北西部のモーリタニアから入るのが通例だが、春間さんは自分のイメージのまま飛び込んだ。

 「アラビア語を独学で勉強したり、インドネシアで実際にラクダに乗ってみたり、逃げ出した時のために発信器を自作したり、準備をしている過程が楽しいです。冒険をやっている間はその日の食べ物の確保や動物の体調とかを気遣うので毎日精いっぱいですが、終わってからすごく不思議ないい気持ちになるんです」

 表題のロバを連れてモロッコ1059キロを野宿した旅は2016年に決行。道中、鬼ケ島へ行くわけでもないのに子犬、子猫、ニワトリ、ハト…と同行する動物たちが増えていく。荷車を引いて彼らを連れて旅する日本人の姿はモロッコ国内でSNSで拡散し、通過点の都市で立ち寄ったマクドナルドでは、店員に記念撮影を求められた。

 「野宿ですし、全然お金はかからないんですよ。行商人をやりながらなんでニワトリの卵を売ったり、写真撮影(のチップ)で小遣い稼ぎをしながらロバ代(2万円)ぐらいはまかない切れました。飛行機の渡航費を含めて12~13万円ぐらいですかね」

 春間さんは旅をしながら投稿サイト「2ちゃんねる」(昨年「5ちゃんねる」に名称変更)に旅の様子を発信。瞬く間にトップの話題になり、まとめ掲示板が形成され、それが編集者の目に留まった。

 「ブログで発信しては自分へのイエスマンばかり集まってきて、批判意見、鋭いコメントがなく、僕自身の成長につながらない。もっと大がかりな冒険を経験するために、発信していましたが、本を出す考えは全くなかったですね」

 帰国中は大阪の家賃2万円のアパートで暮らす。契約社員としてパソコンのテクニカルサポートをしたり、随時インターネットでの翻訳業を受注してお金をためながら次の冒険へと備える。スポンサー依存とは一線を画す、自立型の手作り冒険だ。

 「今度は動物を連れて海の冒険をやってみたい。海洋、登山、洞窟など一つの方向性に行かず『冒険家』という大きなくくりでやりたいんです。船舶免許もこれから取り、今までとは全然違うスキルや、やり方が必要になる。挑戦しがいがありますね」

 

引用元

www.hochi.co.jp

 

貴重な体験ですよね