坂田利夫 結婚式で「ふしだらな妹ですが…」

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給料が上がってからは上本町のホテルに住んで、次になんば花月の近くの連れ込み旅館に長く住んでましたな。後輩の間寛平が結婚してからは心斎橋の同じマンションに住んでてね、よく寛平ちゃんの部屋でごはん食べさせてもらってました。だから家族みたいなもんですね。こないだもね、寛平ちゃんの家に遊びにいったとき、4つか5つの孫娘が僕の手を引いてトイレに連れてってくれますのや。うれしいもんやねぇ。

 弟子も何人かとりましたよ。いちばん早いのは2日でやめました。師匠に対して「おまえ」と言うんですわ。「誰に向かって口きいとんのじゃ」と怒りましたら、次の日から来ませんでしたわ。あとは、お使いに行かせたら釣りを渡さん子もいましたな。僕が計算できないと思ってるんですわ。最近はもう弟子はとってません。疲れますわ。

 いろいろ失敗もしましたな。僕は長男でね、妹の結婚式であいさつしたとき、「ふつつかな妹ですが」というところを「ふしだらな妹ですが」と言ってしまったんですわ。お客さんは苦笑いする人もバカ笑いする人もいましてね。妹にもおふくろにもえらい怒られましたね、いまでも言われますわ。そんな妹ですが、今も近くに住んでるので、独身の僕にごはんつくってくれますわ。

 

 僕はぎんなんが好きでね、朝、御堂筋でぎんなんを拾うて、家に持って帰ったんですわ。フライパンで煎ってましたらね、そのぎんなんがパーンと割れまんねや。ぎんなんは硬いはずなのに、おかしいなぁと思ってよく見たら、犬のふんが乾いてカチカチになってたやつでしたのや。え? 食べてませんよ。かいだら、たしかに犬のふんの臭いがしますのや。食べたなんて言うたら、ホンマにアホやと思われるわ。

 「アホの坂田」で売ってるから、街でからまれることもよくありましたな。ホテルのロビーで男たちにシャツにサインを書けとからまれましてね、シャツには書けませんと断ったら、いきなり殴りまんのや。かけてたサングラスが割れて、まぶたを10針も縫うけがでした。

 店で酒を飲んでたら、なんかおもしろいこと言えとからまれたりとか、酔ったやつにいきなりパーンとたたかれたりね。悪いやつがおんねや。でもね、他の人が見てるから、言い返すわけにもいかん。そういうときは「お笑いを大事にしましょうね」と言うんです。

 昔のお客さんは厳しかった。若手が舞台に出てくると「やかましい」とか「トイレ行こか」と大声で言うしね、わざと大あくびする人もいる。でもね、そこでウケたら、これほどうれしいことはない。今年の3月、「淀川 寛平マラソン」前日のウォークの大会に呼ばれまして、赤い「アホ」の前掛けで行きましたら、お客さんに喜んでもらいまして、うれしくて1キロも歩いてしまいました。あんなに長く歩いたの、初めてちゃうか。

 

引用元

www.sanspo.com

結婚ってなんか感慨深いですよね