【トップ直撃】2つのブランドで健康促進 アサヒカルピスウェルネス・千林紀子社長「飼料事業で食の未来に貢献」

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★アサヒカルピスウェルネス・千林紀子社長

 会社名が示すように、日本を代表する2つのブランドを背負い、健康食品の通信販売を軸に事業展開する。3つの顔と6本の腕を持つ「阿修羅」の大ファンだというグループ初の女性社長は、「八面六臂(ろっぴ)」の活躍を続けている。(中田達也)

 

 --「アレルケア」が主力商品ですね

 「2つの通販ショップを持っているのですが、『カルピス健康通販』でメーンで売れている商品です。食品なので効果や効能をうたうことはできませんが、配合されているL-92乳酸菌の成分は、免疫関連や花粉症、アトピーなどの緩和について自社の試験で実証データが得られています」

 

 --高めの血圧が気になる場合は

 「ラクトトリペプチドという成分が含まれる『ラクトウェル』があります。健康診断などで定期的に血圧を測る方が多いので、飲み続けていただいた方からコールセンターにご連絡をいただくこともあります」

 

 --「100年酵母力」という商品も

 「『アサヒの健康通販』で扱っているビール酵母細胞壁を使った独自のサプリメントです。働き盛りの方にぜひ飲んでいただきたいですね」

 

 --健康食品市場の現状は

 「機能性をうたう食品が多くなったことで競争が激しいですが、われわれは自社研究や自社データをベースにしている立ち位置で、定期購買が多いのも特徴です」

 

 --通販専用の狙いは

 「店頭では商品のデータなど細かい説明が難しいこともあってコールセンターに力を入れ、買う前も買っていただいた後もコミュニケーションを密にしています」

 

 --2つの通販ショップが共存する理由は

 「それぞれブランドカラーがあります。アサヒは比較的男性のお客さまが多く、長く買っていただいています。カルピスの方はファミリー層が多く、女性の比率が高いですね」

 

 --アサヒとカルピスの出身者の持ち味は違いますか

 「カルピスは創業以来、乳酸菌研究をずっとやっていて優良菌を選別する能力や製品化のノウハウを持っています。アサヒグループもビール酵母など有用微生物を扱う技術や発酵の技術があるので、グループシナジーがよく出ています」

 --カルピスの人がおとなしめで、アサヒの人が元気というイメージですが

 「大体思っていただいているイメージ通りです。だからこそ面白いんだと思います。それぞれの遺伝子を大切にしたいというのが合言葉ですが、共通点があるとすると頑固なところ。自分の軸を持っていて、変な妥協はないですね」

 

 --社員の働き方について

 「会社ができたときからカルピスもアサヒの人間も子育て中や介護中の人、外国人などいろんな人がいて、異質を認めないとやっていけないというのがテーマです。コアタイムのないスーパーフレックスや在宅勤務もやっていますし、かなり自由な働き方を導入しています。残業も少ないですし、できるだけ集中して働いてもらえる環境を作っています」

 

 --力を入れている事業はありますか

 「飼料事業では、食の未来に貢献することをテーマに、サプリメントの技術を生かした飼料添加物を作っています。家畜の体が大きくなりやすく腸内フローラも改善するので穀物飼料をそんなに使わなくて済むなど環境改善にもなっています」

 

 --主な市場は

 「米国がメーンです。ブロイラーは世界に300億羽といわれていますが、そのうち10%では私どもの製品です。米国先行で抗生物質フリーの動きが進んでおり、代替品として使っていただいています」

 

 --今後の成長も期待できますか

 「日本でも無薬の市場は大きくなっています。売り上げの規模では通販が大きいですが、利益面では飼料事業との両輪で拡大させていきたいですね」

 

 

 【入社】実家が飲食業をしていたこともあって、酒類業界に興味があったという。「実は一番行きたかったのはニッカウヰスキーでした。創業者の竹鶴政孝さんの本を読んで憧れていたのですが落ちてしまって」

 ニッカがアサヒグループだったことに気付いたのはアサヒビールの入社試験に受かった後だったという。

 

 【ブランド】営業からスタートし、女性初の商品開発担当に。主力商品「スーパードライ」のブランドマネジャーとなった。「ブランドマネジャーが必要だと提案したら、『やってみろ』ということに。ブランドは手を抜くとあっという間に進化が止まってしまう。停滞させないようにいかに成長させるかが大事です」

 

 【V字回復】2002年にアサヒ飲料に転じ、三ツ矢サイダーやワンダ、十六茶などをV字回復させた。07年に再びアサヒ飲料に移った際にはウィルキンソンの炭酸水市場導入を手がけた。

 「それまではバーなどで割り材として使われていて、ペットボトルもなく、直接飲むという文化もなかった。マーケットを作ったなと自分では思っています」

 

 【女性初】グループで女性初の社長に就任するなど、「女性初」の言葉がついて回る。

 「正直、女性ということを意識しなくても仕事ができました。全くやりにくさを感じることはないですね」

 

 【趣味】飲み歩き。休みの日は自宅近くを探索する。「コスパのいい店を探して人に教えて、リピーターになってもらうことが喜びです」

 

 【お酒】「当然ビールは大好きですが、ウイスキーやワインも飲みます。お酒をつくる工程も好きですね」

 

 【手放せない品】子供のころからの阿修羅ファン。興福寺御朱印帳や阿修羅像のフィギュアを集めるほか、14歳のときに阿修羅の絵を描いた。光瀬龍原作、萩尾望都の漫画『百億の昼と千億の夜』に登場する阿修羅王のファンになったことがきっかけだという。

 【読み返す本】谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』。最近読んで興味深かったのは、ノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラー教授の行動経済学に関する本。

 

 【座右の銘上杉鷹山の《為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり》。「幼稚園のときに工作が遅くてできず、母親に努力が必要だと言い聞かされました。大人になると、後半部分を『やらないで後悔するようなことはするな』という意味にとらえています」

 

 【会社メモ】アサヒグループホールディングスの100%子会社で、健康食品事業や機能性素材事業、飼料事業を手がける。2012年にカルピスがアサヒグループ傘下となった後、グループ内の事業を再編し15年に会社設立。本社・東京。16年12月期の売上高130億円。従業員数140人(17年4月現在)。

 

 ■千林紀子(ちばやし・のりこ) 1967年7月生まれ、50歳。神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部卒業後の90年4月アサヒビール入社。マーケティング部プロデューサー、アサヒ飲料商品戦略部長などを歴任。2015年6月カルピス機能性食品・飼料事業担当役員付担当部長、16年3月アサヒカルピスウェルネス取締役を経て17年3月、同社代表取締役社長に就任する。

 

引用元

news.livedoor.com

 

健康は大事ですもんね。